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募集要項・エントリー

PROJECT
STORYー シチズンマシナリー株式会社新工場 ー

第一設備工業で受け継がれるイズム

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PROLOGUE
プロローグ

一人ひとりの社員が参加したプロジェクトを追体験する「プロジェクトストーリー」。今回は、シチズンマシナリー株式会社の工場の新築工事について紹介する。同プロジェクトに参加したのは、現場代理人の宮入勇輔と施工管理の小林弦。常に誤差±1℃の環境を求められた難しい工事。彼らのストーリーを通して、第一設備工業の施工管理の仕事の魅力が存分に感じられるはずだ。

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新人をどう育てるかが裏テーマ

精密機器の製造で知られるシチズンマシナリー社。その新たな工場を造ることが本プロジェクトの目的だ。同工場では、温度変化に敏感な製品を取り扱うとあって、工場内の温度を20℃±1℃に保つ必要がある。施工管理の腕の見せどころとも言える工事だった。

「鉄が温度で膨張するのです。たとえば、20℃で削り出した鉄と40℃で削り出した鉄とでは、わずかですが大きな差が出てしまいます。そのため、温度を一定に保つ必要がありました」と話すのは現場代理人の宮入。

一方で、施工管理の小林は人知れぬ不安を抱えていた。「業務の全てが初めて体験することばかりで、研修にもなかった工事内容でした」。宮入はそれを感じ取っていた。「難しい現場は及び腰になりがち。本人らしく、前向きにやってくれればそれでいいのです。そのため、なんとかなるよ、とあまり不安にさせないようにどっしりと構えるようにしていました。(上司である自分が)なんとかするよ、という意味も込めて。」と振り返る。

工期が後半になるにつれて、忙しさが増していくのが設備の仕事の常。本プロジェクトもそれは同じだったが、宮入の「なんとかなるよ」の魔法の言葉のお陰だろうか、当時、新卒2年目の小林は前向きに仕事に取り組むことができていた。

「仕事量が増えていくのは大変でしたが、設備工事の最初から最後まで携わることができたのはこの現場が初めてでした。上職は力量がある方なので、吸収できるところは吸収したいという心構えでいました。工事の一連の流れを経験し、達成感もこれまでとは段違いで自分の大きな財産になったと感じています。」

そんな小林に対して、宮入は「おれのこと、普段『上職』なんて言わないだろうが」とゲラゲラ笑う。2人の関係性が垣間見えた瞬間だった。

いい現場に育つ背景にあるもの

「吸収できるところは吸収したい」と話していた小林。宮入は自身の仕事ぶりをどう部下に伝えていったのだろうか。

「第一設備工業は1年目が研修期間で、2年目から本配属が決まります。このプロジェクトは、小林が長野支店に来て初めての仕事。なので、まずは工事の一連の流れを教えることが大切だろうと判断しました。そして、その工事は職人さんたちが実際に手を動かしてくれているものなので、職人さんたちへの心の向け方……つまりは、どうリスペクトするかのほかにも仕事のお願いの仕方などを教えました。あとは、一つのものをつくる上でのチームのあり方ですね。たとえば、一回つくったものを壊すような結果になる曖昧な指示は最初からしない、ということを教えたつもりです。」

宮入の指導もあり、小林はこのプロジェクトについて「施工管理ならではの工程管理の打ち合わせがうまくできた時が個人的に楽しいと感じました。職人さんとのコミュニケーションもしっかりと取れて、将来のチーム編成にも生きてくるだろうと感じました」と話している。上司が部下のことを思いやりながら指導すると、このようないい循環が生まれる。第一設備工業にはそれがある。

それでも、小林には一件、悔いの残るミスがあった。職人から「ここはどうしようか」と相談を受けた際に、宮入に相談せずに自分で解決しようとして、工期に遅れが出そうになってしまったのだ。結局、小林から電話を受けた宮入が即座に的確なアドバイスをしたことで、事なきを得た。

「できるなら自分で答えを出したい、という思いが強かったです。でも、それ以上に報告・連絡・相談による情報共有が大事なのだとわかりました。」

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上司と部下ではなく、チームの仲間

さて、このプロジェクトの肝にして最大の難所となる誤差±1℃の温度設定については、どのように結果を出したのだろうか。宮入に話を聞くと、意外とあっさりとした口調で答えが返ってきた。

「工事関係者との 試行錯誤の結果、中央監視制御によって空調機を動かし、工場内の天井から突出しているノズルで空気を攪拌(かくはん)することで設定温度を守り、製品に影響が出ないようにしようとなりました。」

自分たちの苦労を「試行錯誤」の4文字で終わらせるところが、宮入の矜持なのだろう。あえて付け加えるのなら、この話には次のような工夫があったと言う。

「ジオラマではないですが、簡易的に天井を再現した上でノズルを取り付ける方法を職人さんたちと検討しました。それによって、工事をスムーズに進めることができました。」

ものづくりが好きだと言う宮入。彼は、この仕事の魅力をどのように感じているのだろうか。

「建物ができ上がっていく過程を見るのが好きです。施工管理の人間として、設計図にどうアプローチしていくかを考えるのも楽しい。一番楽しいのは、自分なりの考えを一滴垂らして、それがうまく作用した瞬間です。やっぱり、建物である以上は人が使うものなので、どうすれば人が使いやすい建物・設備であるかを考えます。そこで考えたことが周りから評価されると、満足感にもつながります。」

そんな宮入の背中を見て、小林は何を思っているのだろう。「今は、人とのつながりが増えていくのが幸せです。将来、自分が宮入さんのように現場代理人になった時に、誰とどんなチームをつくれば、いいものがつくれるのだろうと想像を膨らませています。いつか、一人で工事現場を持てるようになるのが直近の目標です。」と、キラキラした目で話す。

宮入には、設備の人間として大切にしているイズムがある。今は人脈の広がりに魅力を感じている小林にも、いつか伝わるであろう大切なイズムだ。

「使う人の気持ちになることが一番大事。たとえば、手の届かないところに蛇口があっても、意味がないじゃないですか。それと同じで、どうすればより使いやすいか、をイメージしてお客様に提供すること。管理のしやすさも同様です。少しの手間も大事で、設備をきれいに見せる工夫など、まずは使う人の気持ちになって考えることがスタートです。若い子に自分が言うのは、そういうところです。小林くんは、このプロジェクトを経て責任感が出てきたように感じます。自分が関わっている部分は自分で業者さんにお願いをしますし、お客様が満足できる使い勝手を想像してくれるようになったのかなと。」

そう聞いて小林は照れ臭そうに笑い、こう話した。「宮入さんは僕の父親と同い年なんですよ」

「そう。だから、小林くんは息子みたいなもの。いや、やっぱり親子ではないかも。でも、はっきりと言えることは、上司と部下でもない。チームの仲間なんです。偉いかどうかって言うのは、誰が責任を取るかの時にだけ気にすればいい。」

ここまではっきりと言える宮入だからこそ、年齢を飛び越えて“仲間”に慕われるのだろう。そして、チームが一丸となってこそ、工事現場の雰囲気もよくなる。意志疎通がしやすくなり、共に同じ目標を持つことができるのだ。

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